下地処理
@さてブランクが完成したところで、地味ですが大切な作業である「下地処理」をしていきます。まずはある程度木地に吸い込む位にシンナーでかなり薄めたセルロースクリヤーにドブ漬けします。濃いままだと気泡が出来てしまって、後のウレタンコーティングの際にピンホールが出来やすくなってしまいます。
Aドブ漬けした後は吊るして乾燥させます。この作業をボディから気泡が出なくなるまで繰り返します。だいたい3〜4回必要です。この工程だけで、基礎的な防水性を備えたブランクとなります。
Bセルロースコーティングの後、軽くサンディングして表面のアラを取ってから、次は二液性ウレタンクリアーでコーティングします。ドブ漬けでやると、どうしてもコーティング層の厚い部分と薄い部分の差が大きくなってしまったり、気泡が入ってしまったり、ブランクの形状によってはタマリが出来てしまうので、コーティングは吹付けで行います。
Cウレタンコーティングを5回繰り返します。ウレタンコーティングで出来た凸凹はその都度サンディングして滑らかにしておきます。ここらへんは本当に地味な作業の連続です。
D乾燥後、あらかじめマークをした位置にアイホールとリグ穴をドリルで空けます。特にアイホールの処理には気を使います。目の縁が欠けてしまったりしないよう注意が必要ですが、ある程度コーティング層が厚くなってからこの作業をした方がキレイな縁のアイホールを空ける事が出来ます。ドリルで穴を空けた後、細かいささくれなどをルーターで処理します。
Eアイホール、リグ穴に薄めたウレタンを筆でたっぷりと塗って防水処理をします。
Fアイホールを空けた後、更に2回ウレタンコーティングします(合計7回のウレタンコーティングとなります)。
Gウレタン乾燥後、サンディングしてコーティング層の凸凹を取り除きます。サンディングが終わったら、シリコンオフで表面のホコリや油分を除去しておきます。ちなみにこの脱脂作業は、カラーリング、コーティング前にその都度必ず実施します。
H下地コーティングの終了したブランクです。この状態でかなりの強度があり、仮にこの上に乗せるカラーリング層、トップコーティング層が剥がれても、ルアーとしての機能を充分に果たします。
Iここからはカラーリングの前準備を行います。後から塗るホワイトとの密着を図るため、薄くプライマーを吹付けます。
J次に下地の白を吹きます。以前はここで白のプラサフを使用していましたが、現在は上塗り塗料(ホワイト)を吹付けています。プラサフだと、ある程度の木目やキズ(凹みやペーパー目)を一発で消すことが出来て便利なんですが、塗膜が剥がれやすくなるうえ、時間経過と共にヒケ(肉痩せし)て木目が出て来たりするので現在は使用していません。
Kホワイトが乾いたところで、目の細かいペーパーで表面を滑らかに仕上げます。ペーパー目を残してしまうと、カラーリング時、特にブラシを使って繊細なスポットやラインを吹いた場合に悪影響が出てしまいます。あと、砥石を使ってアイホールのバリを取り除いておきます。
Lこれでようやくカラーリングの下地の完成です。白地ブランクはアラのある部分をハッキリと浮き上がらせます。それだけに、いい下地が出来た時は非常に快感で、上に色を塗るのが本当に惜しくなります。

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